「湿度は下げたいけど、除湿をつけると寒すぎる」「冷房より除湿のほうが冷える気がする」——梅雨や夏の入り口になると、こういう悩みを持つ人が一気に増えます。
筆者も長年、夏の寝室で除湿 vs 冷房の選択に悩み続けてきた一人です。「除湿のほうが電気代が安くて体にやさしい」という漠然としたイメージで使い続けていましたが、実はほとんどのエアコンの除湿は「弱い冷房」を回しているだけで、下手すると冷房より寒くなることすらある、という事実を知ってから見方がガラッと変わりました。
この記事では、エアコンの除湿が寒くなる仕組みを仕組みレベルで整理したうえで、今すぐできる対策と、根本的に解決したい人向けの機種選び(再熱除湿対応メーカー)まで、まとめて解説します。読み終わるころには「なぜ自分の部屋が寒くなるのか」「どうすれば寒さを我慢せずに湿度だけ下げられるのか」が全部スッキリ腑に落ちるはずです。
ちなみに日立ジョンソンコントロールズが2022年に実施した600人対象のアンケートでは、除湿に「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があることを知っている人はわずか15%未満で、73.2%が「知らない」と回答しています。つまり、世の中の圧倒的多数は「自分のエアコンの除湿が何をやっているか」を知らずに使っているということ。この時点で、少なくとも「知らずに寒さを我慢している」状態からは抜け出せるはずです。
結論:除湿が寒いのは「弱冷房除湿」が原因。再熱除湿なら解決する
最初に結論から書きます。
エアコンの除湿で寒くなるのは「弱冷房除湿」という方式を使っているから。設定温度を上げるだけでも改善するが、根本的に解決したいなら「再熱除湿」搭載機種に切り替えるのが一番早い。
世の中で売られているエアコンの除湿モードは、大きく分けて3種類あります。弱冷房除湿、再熱除湿、ハイブリッド除湿の3つです。このうち一般的な普及価格帯のエアコンに搭載されているのが「弱冷房除湿」で、これはその名の通り「弱い冷房」をかけているだけ。だから寒くなるんです。
順番に見ていきましょう。
多くのエアコンは除湿時に空気を冷やしている
まず知っておいてほしいのは、エアコンが湿度を下げる仕組みそのものが「空気を冷やす」ことに依存している、という点です。
中学の理科で出てきた「飽和水蒸気量」を覚えているでしょうか。空気は温度が高いほどたくさんの水蒸気を抱え込めて、温度が下がると抱えきれなくなった水蒸気が水滴として出てくる——あの現象です。冷えたグラスの周りに水滴がつくのと同じで、エアコンは部屋の空気を熱交換器で強制的に冷やして、水滴を発生させて外に排出することで湿度を下げています。
つまり、除湿をするには必ず「空気を冷やす工程」が発生します。問題は、その冷えた空気をそのまま部屋に戻すのか、暖め直してから戻すのかの違いです。前者が「弱冷房除湿」、後者が「再熱除湿」です。
設定温度を上げるだけでも改善する
自宅のエアコンに再熱除湿が付いていない場合でも、できることはあります。それは単純な話、設定温度を2〜3℃上げることです。
弱冷房除湿は「設定温度に向けて部屋を冷やす」動きをするので、設定温度が低いほど強く冷やし、設定温度が高いほど控えめに冷やします。「除湿だから温度は関係ない」と思い込んで22℃とかで運転している人は、それだけで体感がかなり変わるはずです。
根本的には再熱除湿付きの機種に切り替える
設定温度を上げても、サーキュレーターを回しても、「やっぱり寒いものは寒い」という人はいます。特に冷え性の人は、ちょっとした冷気でも体調を崩しやすい。
そういう人が本気で快適さを求めるなら、選択肢は「再熱除湿搭載エアコンに買い替える」の一択になります。再熱除湿は、一度冷やした空気をもう一度暖めてから部屋に戻す方式で、室温を下げずに湿度だけをピンポイントで下げられます。電気代は弱冷房除湿より高くなりますが、「寒さを我慢してまで除湿する」という不毛な夏から解放されるメリットのほうが大きいです。
対応メーカーはダイキン、三菱電機、日立、パナソニック(限定モデル)、富士通ゼネラル、三菱重工、コロナなど。詳しくは後半でメーカー別に整理します。
エアコンの除湿が寒くなる仕組み

ここから少し踏み込んで、「なぜ寒くなるのか」を原理レベルで説明します。仕組みが分かると対策も腹落ちするので、少しお付き合いください。
除湿は空気を冷やして水分を取り除く
エアコンの除湿運転は、次のような流れで動いています。
- 湿った部屋の空気を吸い込む
- 熱交換器で空気の温度を下げる
- 冷えた空気の中で水蒸気が抱えきれなくなり、水滴として熱交換器に付着する
- その水をドレンホースから屋外に排出する
- 乾いた空気を室内に戻す
ポイントは、この工程の中で「空気を冷やす」ステップが絶対に必要だ、という点です。温度を下げずに水分だけを取り除くことは物理的にできません。だから、冷やした空気をそのまま戻せば部屋の温度も下がるし、再加熱してから戻せば部屋の温度は維持される。ここが分岐点になります。
冷房との違い
「除湿と冷房って何が違うの?」という疑問は、実はかなり本質的です。一言でいうと、目的の違いです。
| モード | 主目的 | 副次効果 |
| 冷房 | 室温を下げる | 湿度も下がる |
| 除湿(弱冷房) | 湿度を下げる | 室温もやや下がる |
| 再熱除湿 | 湿度だけを下げる | 室温はほぼ維持 |
冷房は「温度を設定値まで下げる」ことを最優先に動きます。そのときに副次的に湿度も下がる。一方の弱冷房除湿は「湿度を下げる」ことを優先しつつ、冷やさないと除湿できないので結果的に温度も下がる。
面白いのは、「除湿のほうが湿度が下がる」と思っている人が多いのに、実際には冷房のほうが湿度がしっかり落ちる、というケースがある点です。これは冷房がゴリゴリに熱交換器を冷やすのに対して、除湿は穏やかに冷やすので、単位時間あたりの除湿量では冷房が上回ることがあるからです。
弱冷房除湿だと室温が下がる
弱冷房除湿は「ごく弱い冷房」です。熱交換器で冷やした空気を、温め直さずにそのまま室内に吹き出すので、当然ながら部屋の温度は少しずつ下がっていきます。
さらにやっかいなことに、弱冷房除湿では除湿効率を上げるために風量を弱める傾向があります。風量を弱めると熱交換器がより冷えやすくなり、結果として「吹き出す風の温度が冷房より冷たい」という逆転現象が起きることも。「除湿なのに冷房より寒い」という感覚は気のせいではなく、機種によっては事実なのです。
加えて、天井付近の空気を温度センサーが読み取るタイプのエアコンの場合、暖かい空気は上に溜まる性質があるので、部屋の下半分がすでに十分涼しくてもエアコンは「まだ暑い」と判断して冷やし続けることがあります。床に座っている人、ソファに寝転がっている人ほど寒く感じやすいのはこのためです。
もう一つ知っておきたいのが、湿度と体感温度の関係です。同じ室温でも湿度が下がると体感温度は下がります。乾燥した空気のほうが汗が蒸発しやすくなり、気化熱で体温が奪われやすくなるため。だから「除湿で室温が変わっていなくても、なんだか寒く感じる」というケースが発生します。体感温度の観点では、除湿による温度低下+湿度低下の二重パンチで「実際よりもっと寒く感じる」のが弱冷房除湿の厄介なところです。
【体感メモ】同じ24℃でも湿度70%と湿度45%では、体感温度に2〜3℃の差が出ると言われています。湿度が下がればそれだけで涼しく感じる——裏を返せば、除湿が効くほど「寒さ」も強調される、ということです。
エアコンの除湿方式は3種類ある
除湿の方式を整理しておきましょう。日立ジョンソンコントロールズの調査では、「弱冷房除湿と再熱除湿の2種類があること」を知らない人が73.2%にのぼったという結果が出ていて、多くの人は自分のエアコンがどの方式で除湿しているかすら知らないのが実情です。
弱冷房除湿
もっとも一般的な除湿方式です。国内のエアコン市場の大半、特に普及価格帯のモデルはこの方式を採用しています。
- 仕組み:空気を冷やして除湿し、そのまま部屋に戻す
- メリット:消費電力が少なく、電気代が安い
- デメリット:室温が下がるので肌寒く感じる
- 向いているシーン:気温も湿度も高い真夏
弱冷房除湿は、端的にいうと「控えめに動く冷房」です。冷房ほどバキバキに冷やさないけれど、確実に室温は下げにいきます。真夏のピーク時は「ちょっと涼しくて湿気も下がる」ありがたいモードになりますが、梅雨や秋口のように気温自体はそれほど高くない時期に使うと、一気に「寒い」になります。
再熱除湿
「室温を下げずに湿度だけ下げる」という、寒がりユーザーの救世主みたいな方式です。
- 仕組み:空気を冷やして除湿した後、熱交換器で温め直してから部屋に戻す
- メリット:寒くならずに湿度だけ下げられる、湿度戻りが起きにくい
- デメリット:電気代が高い、上位機種にしか搭載されていない
- 向いているシーン:梅雨、部屋干し、就寝時、気温が低めの日
日立の白くまくんに搭載されている「カラッと除湿」は、再熱除湿の代表格です。日立公式によれば、寒さを感じる室温13〜22℃のときは温度を上げて肌寒さを抑え、ムシムシする23〜26℃のときは室温をキープしながら除湿する、と温度域によって動作が変わる仕様になっています。
再熱除湿の弱点は電気代です。冷やした空気を温め直す工程で熱交換器を二段階使うため、単純な冷房や弱冷房除湿より消費電力が増えます。筆者の感覚では「快適性に課金している」と割り切れる人にはおすすめですが、「とにかく電気代を下げたい」という人とは相性が悪い方式です。
ざっくりの目安ですが、弱冷房除湿の消費電力を1とすると、冷房は1.3〜1.5倍、再熱除湿は2倍前後の消費電力になる傾向があります。ただし、再熱除湿は湿度戻りが起きにくいので、結果として連続運転時間が短くて済む、という逆転が起きるケースもあり、単純比較はしづらいというのが正直なところです。
もう一点、再熱除湿の地味な強みに「湿度戻りが起きにくい」というのがあります。湿度戻りというのは、エアコンが設定温度に達してサーモオフ(送風状態)になったとき、熱交換器に付着していた水分が送風で再蒸発して室内に戻ってしまう現象のこと。冷房や弱冷房除湿では起こりやすい現象ですが、再熱除湿は熱交換器を暖める工程があるため、湿度戻りが構造的に起きにくい。梅雨時の「冷房かけたのにジメジメが戻ってくる」問題への回答にもなっています。
ハイブリッド除湿
弱冷房除湿と再熱除湿を、そのときの室温や湿度に応じて自動で切り替えてくれる方式です。ダイキンの上位モデルに搭載されています。
- 仕組み:室温や湿度の状況に応じて、弱冷房除湿と再熱除湿を自動で切り替える
- メリット:季節や時間帯を問わず快適、電気代も再熱除湿オンリーよりは抑えられる
- デメリット:対応機種が限られる、本体価格が高い
- 向いているシーン:オールシーズン、除湿モードを活用したいユーザー
ダイキンの「さらら除湿(ハイブリッド方式)」「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」がこれに当たります。リニアハイブリッド方式のほうがより細かい温湿度制御ができる上位版で、うるさらXシリーズ(RXシリーズ)などに搭載されています。
自分のエアコンの除湿方式を確認する方法

「うちのエアコンの除湿ってどれ?」を調べる方法を3つ紹介します。どれか1つで確認できれば十分です。
取扱説明書で確認する
一番確実なのは取扱説明書を開くことです。紙の取説が手元になくても、ほぼすべてのメーカーが公式サイトに型番検索でPDFを公開しているので、そこからダウンロードできます。
取説の中で「再熱除湿」「除湿運転の種類」「ドライ機能」あたりの章を探してみてください。以下のような記述があれば再熱除湿搭載機種です。
- 「冷えない除湿」「暖かい空気を混ぜ合わせた除湿」
- 「再熱除湿」「再加熱除湿」「再熱方式」
- 「室温を下げずに湿度を下げる」という説明
逆に「弱冷房除湿」「冷房と同じ仕組みで除湿」「ドライ運転中は室温も下がります」のような記述しかなければ、弱冷房除湿のみの機種です。
メーカーサイトで型番検索する
エアコン本体の側面や底面に貼ってある銘板シールに、型番が書いてあります。例:「AN22ZES-W」「MSZ-GV2823」「RAS-X40M2」など。
この型番をメーカー公式サイトやGoogleで検索すると、スペックページが出てきます。スペック表の「除湿方式」欄を見れば一発です。
| メーカー | 型番検索先 |
| ダイキン | ダイキン公式サイト「商品情報」 |
| 三菱電機 | 霧ヶ峰公式サイト |
| 日立 | 日立の家電品(kadenfan) |
| パナソニック | Panasonic公式「エオリア」 |
価格.comの「スペック検索」も便利です。「再熱除湿:あり」でフィルタをかけられるので、自分の機種が該当するかすぐ分かります。
リモコンの表示で判別する
取説もない、型番も見えない、という場合は、リモコンで判別するという裏技もあります。
- 除湿モードで「温度設定」ができるか?
- 除湿モードの中に「強/標準/弱」以外の選択肢(「再熱」「涼快」「さらら」など)があるか?
- メーカー固有の名称(さらら除湿、カラッと除湿、さらっと除湿冷房など)が表示されるか?
除湿モードで温度設定ができて、かつ湿度設定もできるようなら、ほぼ確実に再熱除湿またはハイブリッド除湿搭載機種です。逆に「除湿モードでは温度が設定できない」「強/弱しか選べない」だと弱冷房除湿のみと考えて間違いありません。
除湿が寒いときの対策
ここからは実践編です。今あるエアコンのまま、なるべくお金をかけずに寒さを和らげる方法を、効果の高い順に並べていきます。
設定温度を上げる
もっとも効果が大きくて、もっともお金がかからない対策です。
弱冷房除湿は「設定温度まで下がるように冷やし続ける」動きをします。設定温度が低ければ低いほど、強く冷やします。だから「除湿だから温度は関係ない」と思って20〜22℃に設定している人は、まずここを26〜28℃に変えるだけで体感がまったく変わります。
目安としては、現在の室温より1〜2℃高めに設定するのがちょうどよい、と言われています。たとえば室温が26℃なら、除湿の設定は27〜28℃に。これだけでエアコンは「ほとんど冷やさずに、弱く動いて湿気だけ取る」モードに入ります。
【筆者の体感】6畳寝室で弱冷房除湿の設定温度を24℃から27℃に変えたところ、夜中に寒くて布団に包まる回数が激減した。湿度計は65%→58%と「まあ許容範囲」程度の変化しかなかったが、体感の快適さはむしろ上がった。寒さで眠りが浅くなるよりは、湿度がやや高めでも温度が安定しているほうが圧倒的に眠りやすい。
ただし、設定温度を上げすぎると「ぜんぜん除湿されない」状態になることもあります。特に外気温が低めの梅雨時は、設定温度を室温より高くするとエアコンがサーモオフ(運転停止)してしまい、湿度が下がらないまま止まり続けてしまうことがある。このへんはちょっと試行錯誤が必要です。
試行錯誤のコツとしては、「まず設定温度を室温+1℃からスタートして、30分ほど様子を見る」というやり方をおすすめします。30分経って湿度計(スマートウォッチやスマートリモコンで見られる人も多いはず)が5%以上下がっていなければ、+1℃を+0℃に、つまり室温と同じ温度に下げる。それでも下がらなければ-1℃に、と段階的に調整します。1回で決めようとせず、部屋の断熱性能と外気温に合わせて「自分の部屋の最適解」を探すイメージです。
風向きを上に変える
寒さを感じる最大の原因は「冷たい風が肌に直接当たること」です。だったら、風が肌に当たらないように向きを変えてしまえばいい、というシンプルな対策です。
エアコンのルーバー(羽根)を一番上に向けて、風を天井に沿って流すようにしてみてください。冷たい空気は重いので自然と下に降りてきますが、天井を通る間に室内の空気と混ざって角が取れる。直撃するより断然マイルドになります。
- 冷房・除湿時の風向きは「水平」または「上向き」が基本
- 風量も「自動」か「弱」にしておくとさらに体感が穏やかになる
- スイングモードを使うと一箇所に冷気が偏らない
逆に、よくやりがちなNG設定が「風向きを下向き、風量を強めにして、早く除湿終わらせたい」というパターンです。これは効率的に見えて、実は部屋の空気を冷やしすぎる上に、熱交換器のほうも冷えきれないので除湿効率も上がりません。急がば回れです。
サーキュレーターや扇風機を併用する
これはかなり効きます。
冷たい空気は下に、暖かい空気は上に溜まる性質があります。エアコンの除湿運転中は、この温度差が部屋の中で偏ってしまい、結果として「足元だけやたら寒い」「上半身は暑いのに足首が冷える」みたいな不快な状態が生まれやすい。
サーキュレーターを床に置いて上向き、または斜め上に風を当てると、この温度差が一気になくなります。エアコンが感じ取る空気温度も均一になるので、結果として過剰に冷やしにいく動作も減り、電気代も穏やかに下がります。
サーキュレーターの置き方のコツ:エアコンの対角線上、部屋の反対側の床に置いて、エアコンに向かって上向きに風を送る。これで部屋全体の空気が循環する。
扇風機で代用もできますが、サーキュレーターのほうが直進性の高い風を長距離送れるので、部屋を攪拌する目的ならサーキュレーターのほうが向いています。首振り機能付きなら、なお良し。
筆者は夏場の寝室に1台、リビングに1台の計2台のサーキュレーターを常設しています。最初は「扇風機と何が違うんだろう」と半信半疑でしたが、一度使い始めると戻れなくなりました。特にエアコンの除湿を使いながらサーキュレーターで空気を回すと、エアコンが温度ムラを検知して無駄な冷却をかけずに済むので、結果として体感温度が安定する=寒くならない、という好循環が生まれます。
再熱除湿に切り替える
自分のエアコンに再熱除湿が搭載されているのに、気づかずに弱冷房除湿を使い続けている、というケースが意外に多いです。
たとえばダイキンの中〜上位モデルには「さらら除湿」というモードがあり、リモコンに独立したボタンが用意されていることが多い。三菱電機の上位モデルには「さらっと除湿冷房」、日立の上位モデルには「カラッと除湿」と「涼快」があります。
リモコンをじっくり眺めてみて、普段使っていない謎のボタンがあったら、それが再熱除湿の呼び出しボタンかもしれません。取説を開いて確認する価値は十分あります。
切り替えるだけで「同じ湿度でも部屋が寒くない」という別世界が体験できます。ただし、繰り返しになりますが電気代は上がります。1日中つけっぱなしにすると月の電気代に数千円上乗せになることもあるので、「ここぞ」のときに使うのが賢い運用です。
除湿機に切り替える
「そもそもエアコンの除湿を使うのをやめる」という選択肢もあります。単体の除湿機を使う方法です。
除湿機は大きく分けて3種類あります。
| 方式 | 特徴 | 向いているシーズン |
| コンプレッサー式 | 電気代が安く、除湿能力が高い。室温がやや上がる | 梅雨〜夏 |
| デシカント式 | 低温でも除湿できる。ヒーターを使うので室温が上がりやすい | 冬 |
| ハイブリッド式 | 上記2方式を自動切り替え。高機能だが本体価格が高い | 通年 |
梅雨〜夏の湿気対策ならコンプレッサー式が第一候補。エアコンの再熱除湿と同じく「冷やして水分を取り、温め直して戻す」仕組みなので、部屋が寒くなりません。むしろコンプレッサーからの排熱で部屋がやや暖まる傾向があるので、梅雨冷えの日には逆にちょうどよかったりします。
価格帯は2〜4万円程度。エアコンの買い替えが10万円超えることを考えると、コスパはかなり良い選択肢です。持ち運べるので、エアコンが設置されていない寝室・脱衣所・クローゼット周りでも使える、というメリットもあります。
番外編:服装と室内環境の見直しも意外と効く
エアコンの設定をいくら調整しても寒さが改善しない、という人は、服装や部屋の環境側にも原因があるかもしれません。筆者が実践して効いた細かいテクニックをいくつか紹介しておきます。
- 長袖のリネンシャツやカーディガンを手元に置いておく。寒くなったら肩にかけるだけでかなり違う
- 靴下を履く。足元が冷えると全身が寒く感じやすい
- 温湿度計を部屋に置く。数字で把握すると体感と実測の差が分かる
- エアコンの真下ではなく、少し離れた位置で過ごす
- 遮熱カーテンを閉める。直射日光が減るとエアコンの過剰運転が減る
特に温湿度計は安いもので十分なので、1つ置いておくことを強くおすすめします。人間の体感は意外に当てにならないもので、「寒い」と感じていても実は室温26℃・湿度70%だった、みたいなパターンはよくあります。湿度が高すぎて汗の蒸発がおかしくなっているだけで、エアコンの設定を変えるべきは温度ではなく湿度のほう、という判断もできます。
メーカー別・再熱除湿対応の機能名

ここからは、エアコンを買い替える前提で再熱除湿搭載機種を探す人向けの情報です。メーカーごとに機能名も搭載シリーズも違うので、整理しておきます。なお2025年モデル時点の情報で、シリーズラインナップは年度ごとに変わるため購入前に公式サイトで最新情報を確認してください。
ダイキン「さらら除湿」
ダイキンの除湿機能は「さらら除湿」という総称で呼ばれていますが、機種によって仕組みが3タイプに分かれるのがややこしいポイントです。
| タイプ | 搭載シリーズ | 特徴 |
| さらら除湿(リニアハイブリッド方式) | RX・AX・DXシリーズ | 再熱除湿+弱冷房除湿を細かく自動制御。最上位版 |
| さらら除湿(ハイブリッド方式) | MX・FX・GXシリーズ | 再熱除湿+弱冷房除湿の自動切り替え |
| さらら除湿(単独) | SXシリーズなど | 再熱除湿ではなく、温度低下を抑える除湿方式 |
注意してほしいのは、「さらら除湿」と名前がついていても機種によっては再熱除湿ではない、という点です。SXシリーズなどのエントリーモデルに搭載される「さらら除湿」は、弱冷房除湿の派生形であって再熱除湿ではありません。
本格的な再熱除湿を求めるなら、最低でも中位のGXシリーズ以上、できれば上位のRX・AXシリーズを選ぶのが無難です。代表機種としては「うるさらX(RXシリーズ)」が有名で、加湿機能と再熱除湿の両方を搭載した総合力の高いモデルです。
三菱電機「さらっと除湿冷房」
三菱電機の霧ヶ峰シリーズには「さらっと除湿冷房」という機能があり、これが同社の再熱除湿に当たります。仕組みとしては「冷房」と「再熱除湿」を自動で最適な比率で組み合わせて運転するもの。
搭載シリーズは以下の通りです。
- FZシリーズ(最上位モデル)
- Z/ZXVシリーズ(上位モデル)
- JXVシリーズ(中位モデル)
- HXVシリーズ
FZシリーズは日本一の省エネ性能を謳っている霧ヶ峰の旗艦モデルで、「エモコアイ」という人の脈拍を非接触で計測して快・不快を推定するセンサーまで搭載されています。ここまで高級機だと予算的にはそれなりですが、「センサー技術×除湿」という組み合わせで考えるなら三菱電機が強い、という評価は根強いです。
中位のJXVシリーズは、再熱除湿+赤外線センサー「ムーブアイ」搭載でコスパが良く、「上位モデルは高すぎるけど再熱除湿は欲しい」という層に人気の選択肢です。
日立「カラッと除湿」
日立の白くまくんシリーズは、再熱除湿エアコンの歴史そのものといっていい存在です。1995年に業界初のインバータサイクル再熱除湿方式「カラッと除湿」を搭載した製品を発売して以来、30年近くにわたって再熱除湿に注力してきたメーカーです。
カラッと除湿の優秀な点は、動作の細かさです。
- 自動カラッと除湿:室温を自動判定し、寒さを感じる温度域では弱暖房を組み合わせる
- 手動カラッと除湿:室温10〜32℃を0.5℃刻み、湿度40〜60%を5%刻みで設定可能
- ランドリー除湿:部屋干しの洗濯物を狙って集中除湿
- カビ見張り除湿:カビが発生しやすい温湿度になると自動で除湿開始
日立が他メーカーに対してアドバンテージを持っているのは、「涼快」という独自モードがある点です。これは冷房+再熱除湿の組み合わせで、「ちょっと暑いけど湿度も下げたい」という夏場ど真ん中の条件に最適化されています。再熱除湿単体より電気代を抑えつつ快適さを維持できる、絶妙なモードです。
カラッと除湿の搭載は、基本的に上位モデル(X・Wシリーズなど)です。エントリー〜中位モデルには「ソフト除湿」という弱冷房除湿が搭載されているので、型番をしっかり確認してから購入しましょう。代表的な上位モデル型番は「RAS-X40M2」「RAS-X40L2」「RAS-X40F2」など(末尾のアルファベットが発売年を示す)。
価格.comの口コミでは、「パナソニックと富士通の上位機種から白くまくんに買い替えて、カラッと除湿の出来に感動した」「湿度55%、温度+2.5℃設定で朝まで快適に寝られる」といった再熱除湿ユーザーからの高評価が目立ちます。再熱温度が0.5℃刻みで細かく調整できる点が特に好評です。
パナソニック「快適除湿モード」
パナソニックのエオリアシリーズは、歴史的にはちょっと複雑な立ち位置です。2010年代前半までは上位機種に再熱除湿を搭載していたものの、その後しばらく再熱除湿ラインアップを廃止。2024年モデルからヤマダ電機限定のVXYシリーズとして再熱除湿搭載モデルが復活した、という経緯があります。
現在のパナソニックの除湿モードは、基本的に弱冷房除湿を高度に制御したもので、「快適除湿モード」「しっかり除湿」「衣類乾燥」などの選べるモードが用意されています。純粋な再熱除湿を希望するなら、ヤマダ電機限定モデルを選ぶか、中古・型落ちを含めてよく確認して購入する必要があります。
ちなみにパナソニックの強みは「エオリアAI」と「ナノイーX」です。再熱除湿の絶対性能では日立やダイキンに譲るものの、カビの抑制や消臭機能、センサー制御による自動運転の賢さでは独自の評価を得ています。
その他のメーカーの再熱除湿対応状況
上記4メーカー以外にも、再熱除湿を搭載しているメーカーはあります。参考までに補足しておきます。
- 富士通ゼネラル(ノクリア):上位モデルのXシリーズに「さらさら冷房」という再熱除湿を搭載
- 三菱重工(ビーバーエアコン):一部上位モデルに再熱除湿あり
- コロナ:一部機種に再熱除湿機能を搭載
逆に、シャープ、東芝、アイリスオーヤマなどは再熱除湿を搭載した国内向け家庭用モデルはほぼないと考えていいでしょう(2025年時点)。価格重視で選ぶときの盲点になりやすいポイントです。
除湿と冷房の使い分け

最後に、除湿と冷房をどう使い分けるかの実践的な判断基準をまとめます。「除湿と冷房どっちが電気代安いの?」問題にも踏み込んで書きます。
電気代の大小関係を押さえる
「除湿のほうが冷房より電気代が安い」と思っている人は多いですが、これは半分正解で半分間違いです。正確には、消費電力の大小関係は次のようになります。
| モード | 相対的な電気代 | 備考 |
| 弱冷房除湿 | 安い | 一般的な除湿モード |
| 冷房 | 中くらい | 設定温度と外気温の差で変動 |
| 再熱除湿 | 高い | 弱冷房除湿の約2倍が目安 |
つまり「除湿=安い」というのは弱冷房除湿の話であって、再熱除湿はむしろ冷房より高い、という逆転関係になります。この知識があるかないかで、夏場の電気代は大きく変わります。
気温が高く湿気も多いときは冷房
真夏の昼間、気温30℃超えで湿度も高い、というコンディションは冷房の出番です。
冷房は「室温を下げる」ことに最適化されていて、結果的に湿度もしっかり下がります。除湿モードで同じことをしようとすると、設定温度に達するまでの時間が長くなり、その間ずっと運転が続く分、むしろ電気代が高くつくことがあります。
判断基準の目安は、室温28℃・湿度60%を超えたら冷房にする、というあたりです。このライン以上では除湿を選ぶメリットはほぼなく、冷房のほうが速く快適な状態まで持っていけます。
温度は下げたくないけど湿気を取りたいときは除湿
梅雨の肌寒い日、気温23〜26℃くらいなのに湿度が70%を超えて部屋がジメジメしている——これが除湿の本領が発揮されるシーンです。
ただし、この使い方で寒くならずに快適に過ごせるかどうかが、まさに今回のテーマでした。弱冷房除湿しかないエアコンの場合、気温が低めの日に除湿をかけると室温がさらに下がって「湿気は取れたけど寒い」になりがち。再熱除湿搭載機種なら、この条件で真価を発揮します。
弱冷房除湿しかないエアコンで梅雨を乗り切るなら、設定温度を室温+1℃くらいに上げて、サーキュレーターで空気を循環させ、風向きを上に向けて運転する。これだけでかなりマシになる。
梅雨時期のおすすめ使い方
梅雨時期は気温と湿度の変動が大きいので、日によって使い分けるのが正解です。
| 気温の目安 | 湿度の目安 | おすすめモード |
| 28℃以上 | 60%以上 | 冷房(設定26〜28℃) |
| 25〜28℃ | 70%以上 | 冷房または再熱除湿 |
| 23〜26℃ | 70%以上 | 再熱除湿/設定温度高めの弱冷房除湿 |
| 22℃以下 | 70%以上 | 除湿機(コンプレッサー式) |
22℃以下の肌寒い日に湿度だけ高い状況では、エアコンでの除湿はコストパフォーマンスが悪くなります。再熱除湿でも動作範囲外になる機種がありますし、弱冷房除湿なら間違いなく寒くなる。このゾーンでは単体の除湿機に任せるのが現実的な選択肢です。
また、梅雨時期はエアコンのフィルター清掃をマメにやっておくと効きが変わります。ホコリが詰まっていると熱交換器の効率が落ちて、除湿量も減ります。2週間に1回の目安で掃除機がけするだけでも十分効果があります。
よくある質問:就寝時はどのモードが正解?
「寝るときはどのモードがいいですか?」という質問は本当によく受けます。これも気温によって変わります。
- 熱帯夜(最低気温25℃以上):冷房28℃+風量自動+風向き上向き
- 蒸し暑い夜(気温23〜25℃・湿度70%以上):再熱除湿があれば再熱除湿50〜55%、なければ冷房27℃
- 肌寒い梅雨の夜:再熱除湿55%+タイマー3時間、または除湿機単体運用
就寝時に一番やってはいけないのは「蒸し暑いから弱冷房除湿を最低温度でつけっぱなしにする」という設定。これは寝入りばなは快適でも、明け方には体が完全に冷えきって、風邪や体調不良の原因になります。寝るときこそ、温度は高め・湿度だけ下げる運用を意識してください。
よくある質問:除湿つけっぱなしは電気代的にどう?
「エアコンは30分以上空けるならつけっぱなしのほうが電気代安い」とよく言われますが、これは除湿にも当てはまります。エアコンは起動時に最も電力を消費するため、短時間のオンオフを繰り返すより、ゆるい設定でつけっぱなしにするほうが電気代は安くなる傾向があります。
ただし、再熱除湿は「常に熱交換器を動かし続ける」方式なので、つけっぱなし運用だと消費電力が積み上がります。梅雨時期の24時間運用だと、冷房より月の電気代が数千円単位で増える、という話はよく聞きます。使う時間帯を絞るか、ハイブリッド除湿方式の機種にアップグレードするかの判断が必要になります。
部屋干しのときの使い方
梅雨〜夏の部屋干しは、生乾きのニオイを防ぐためにもスピード勝負になります。
結論からいうと、部屋干しでは冷房+サーキュレーターの組み合わせが最強です。洗濯物が乾くために必要なのは「低い湿度」と「空気の流れ」で、冷房は湿度を強く下げつつサーキュレーターで風を当てれば乾燥スピードが跳ね上がります。
再熱除湿搭載機種なら、日立の「ランドリー除湿」や、室温によって暖房と組み合わせて動くモードを使うと、冬や梅雨冷えの日でも効率よく乾かせます。
- 洗濯物はなるべく間隔を空けて干す(空気が通る隙間を作る)
- エアコンの風が直接当たる位置に干すのが理想
- サーキュレーターを洗濯物の下から当てて空気を循環させる
- 可能なら部屋のドアを閉めて、除湿対象空間を狭くする
まとめ:寒くならない除湿のポイントは設定温度と除湿方式
エアコンの除湿が寒い原因は「弱冷房除湿」という方式のせいです。実質的に弱い冷房を回しているので、寒くなって当然。設定温度を上げる・風向きを上に向ける・サーキュレーターを併用する、この3つで今あるエアコンのままでもかなり改善できます。それでも寒さが我慢できないなら、再熱除湿搭載機種への買い替えが確実な答えになります。
今日の内容をざっと振り返っておきます。
- 除湿は空気を冷やして水分を取る仕組みなので、基本的に室温は下がる
- 再熱除湿は冷やした空気を温め直す方式で、寒くならないが電気代は高め
- ハイブリッド除湿は両方式を状況に応じて自動切り替えする上位方式
- 自分のエアコンの方式は、取説・型番検索・リモコンで確認できる
- 買い替え候補は、ダイキンRX/AX・三菱電機FZ/Z/JXV・日立Xシリーズ
- コンプレッサー式の単体除湿機も、エアコンと役割分担する選択肢として有効
筆者自身、以前は「夏はとりあえず除湿」という脳死運用をしていて、寝室で寒さに震えながら毎夏イライラしていました。再熱除湿搭載機種に買い替えてサーキュレーターと温湿度計を導入してから、夏の睡眠の質が明らかに変わりました。特に冷え性の人は、除湿の冷えすぎが睡眠を直撃します。夜中に何度も目が覚める、朝だるいという症状があるなら、まず設定温度を2℃上げて風向きを真上にしてみてください。
リモコンを引っ張り出して、設定温度を2℃上げる。それだけで、今日から少し快適になります。

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